夏海に関してはその後ちゃんとした書類を送って合意が確認できた後、慰謝料送金後に離婚することになると山城は伝えた。

その後は、浩介との話し合いなので別室で話し合いをすると言うと夏海はまたくってかかってきた。
まだそんな体力があるのかと山城はげんなりした。

私も関係者だから同席すると言い出したがこれも浩介が宥めすかした。

「キミは絶対安静だから家で安静にしていなければいけないよ。大変なことは私に任せて。」
そう言って夏海を残して家を出ることができた。

ーー絶対安静の妊婦にしては元気だったが、後からしんどくなったりするのだろうか。

「松永さん、だいぶ興奮してましたが…」
山城がいらぬジジ心を抱いていると、ホテルのロビーの机で書類にサインしながら浩介が話し出した。

「私には隠れて外出してるようですし、大丈夫だと思いますよ。」
浩介の目は心配する感情は無く、淡々と仕事をこなしていた。

ーーこんなに人間味のない人だったのか?
淡々としているのは離婚の書類を書いているからなのか、
夏海のことなのか。
山城は判断できずにいた。

「驚かれたでしょう?」

山城は驚きながらどのことで?と思っていると
浩介は夏海が絶対安静を盾に同居を求めて来たことでなし崩しで離婚前に同居してきたことを話した。
後から仕事を突然辞めてきた事もわかった。事前に相談もなかったそうだ。