佳乃子は郊外の「八尾里霊園」に来ていた。
霊園の職員の話を食い入るように聞いている。
「やっぱり、うちはペットもいるからペット供葬できるのがいいわ。それに、子ども達に迷惑かけたくないから、永代供養墓は魅力的」

「永代供養墓はいいーですね。私も子どもには迷惑かけたくないから気になる。」
佳乃子の隣で同じくらいの熱を持ってプランを覗いているのは山城事務所の事務員山城晴香。
今日もひっつめ髪にメガネをかけて、パンフレットを見ている。
山城に佳乃子にの「お目付け役」として墓園探しについてきていた。
これ以上、おかしな条件が加わらないようにということだったが山城が心配で佳乃子に付いておけと言ったのだろう。晴香はそう思っていたが、意外にも墓園探しは知らないことが多く晴香の好奇心を刺激していた。

「晴香ちゃんも、お子さんいたもんね」
「シングルだから子育て大変だけど、自分で何でも決めれるからいいですよ」
「あ、晴香ちゃん先輩なのね。そうよね。自分で決めれるのよね。」

話し方が寂しそうで晴香は佳乃子の目を見た。
静かにパンフレットを覗く目には不安を読み取れない。

「すみません。こちらのペット供葬の永代供養墓の見積もりと見学お願いします。」
佳乃子は霊園のスタッフにお願いする。

晴香は山城にLIMEを送っていた。
「お墓決まりそう。大丈夫そうだよ。そっちはどう?」