「二人でどこか行かねぇ?」

気が付いたら口にしていた。東雲が「えっ!?」と驚きながら顔を上げる。その顔は真っ赤になっていて、こっちまでそれが移りそうになった。慌てて顔を逸らす。

「いや、違う!口から勝手に出ただけだ!忘れろ!」

早口でそう言い、俺は美術室から出ようとした。でもその手を素早くあいつが掴む。俺より小さくて、柔らかい白い手だ。

「嬉しいです!私、先輩とお出かけしたいです!」

そう言った東雲は、今まで見た東雲よりも輝いて見えた。赤く染まった顔も、白い肌も、何もかもが綺麗で見惚れてしまう。

天真爛漫ならこいつを俺はいつの間にか好きになっていたんだな。そんな答えがストンと落ちてきた。