椅子に座ると隣の席に東雲が座る。隣に座った東雲の白いうなじが見えて顔が熱くなる。生地の薄い夏服を着ているあいつはどこか色っぽくて、見てしまう。こんなにジロジロ見たら失礼だろ!

「おいしいですね〜」

バニラアイスを食べる東雲が笑う。いつもこいつ笑ってんな。エアコン効いてるはずなのに何故か暑い。外を歩いてるみたいだ。

「美味しいけどちょっと溶けてるな」

「うっ、すみません……」

時間が経っているせいかカップの中のアイスは柔らかくなっている。でもうまい。二人並んでアイスを黙々と食べていると、東雲が言った。

「そういえばもうすぐ夏休みですね。小鳥遊先輩は何か予定とかあるんですか?」

「夏休み……」

そうか、そういえばそうだ。夏休みは何をしよう。何も考えていなかった。

「特には何も考えてないな。でも多分ずっと絵を描いてると思うぞ」

「小鳥遊先輩、絵を描くの好きですもんね。私も多分そんな感じになりそうです」

東雲が笑う。笑った時にできたえくぼに鼓動が早くなる。ああ、やっぱりこの感情はーーー。