見栄を張って着た浴衣。そしてそれに合うように履いた下駄。
血が滲んでズキズキとした痛みが続いていたのを覚えている。

周り中の人は上を見上げ、前へ前へと押し寄せてくる中、たった1人。押し寄せてくる人の波の方へと向かっていたのは私だけだったと思う。

一般的に、花火が上がるその瞬間は両片思いの男女が両思いになる瞬間だったりするんだと思っていた。