高校生時代にお金を貯めて買った、淡色で、コントラストの帯色が美しい浴衣。
ただ、美しいのは浴衣だけだった。これに見合う人間になれればな、そう思いながらそっと浴衣を戻す。

途端に暗くなりかけた自分を奮い立たせ立ち上がる。
とりあえずご飯!そして家事!!

何か悩んだ時に他のことをして紛らわす癖。
そんな自分のせいで今悩んでいるというのにまたやってしまっている。でも、今はそれが丁度いい。じゃないとずっと暗くなってしまいそうだから。


冷蔵庫にかろうじて生き長らえていたうどんを茹で、その間に山のように溜まった洗濯物を洗濯機に放り込む。
これ食べたら買い物行こう。
そう決断し、即席のうどんを頬張りながら身支度をする。

考える暇もなく動いてなきゃきっと今はダメだから。
誰を待たせてる訳でもないのに急いでドアに手をかけた。