「美海ちゃん、ごめんね」


不意に告げられたその一言にまたも固まってしまう。
それは、私が作ったレイアウトにアレンジを加えて欲しいと言ったことだろうか。そんなことなら別に何ともないのだけど。
昔から彼は人の顔色を伺う節があった。当時の私はそんな彼の優しさと、どこか放っておけない雰囲気に惹かれていった。
まぁ、もう「昔のこと」に過ぎないのだけど。

なんとも言えない気持ちになりぎこちなくにこりと笑みで返す。
そこから特に会話もなく出入口前まで送ってくれた。