「じゃあ、成瀬くんの寿命1年分をわたしにください。」


ん、、、、?僕の聞き間違えか、、、?


僕の寿命1年分をわたしにください、、、って言ったのか、、?


突然のことすぎて頭が追いつかない。


とうとう僕の頭は壊れてしまったみたいだ。


「あ、絶対何言ってるんだこいつ的なこと思ったでしょう?」


!?内心を当てられてつい顔に出てしまう。

「びっくりしたよね。ごめんね。」


「なんで僕の寿命が欲しいの?」


「それは......」


返答に困ったのか、目が泳ぎだす彼女。


杉浦さんってこんな面白い人だったんだな。



「....だって、成瀬くんってかっこいいじゃん?高身長で、黒髪で、誰に対しても優しくて、頭が良くて。だからね、一回でいいから成瀬くんみたいな人と付き合ってみたかったの!!」

プハッ!

下心丸見えなのに、それをまっすぐな瞳で言い切る姿が面白すぎてついつい笑ってしまった。


笑ったのはすごく久しぶりに感じてしまう。

「なんだそれ。杉浦さんって面白いんだね。」


「えー!そうかな!やった!嬉しい!」


「いや、褒めてないからね!?」


「それでも嬉しいの。よかった。成瀬くんが笑ってくれて。」


その時、心が温まる感じがした。

僕が誰かに必要とされている。


そう思ったら嬉しくて、つい涙が溢れてしまった。


男の涙なんて恥ずかしいだけかもしれない。


でも彼女はそんな僕に対して


「成瀬くん、私、きっと成瀬くんを幸せにしてみせるから!もっとずっと生きていたいって思ってもらえるくらい幸せにしてみせるから!」


と微笑んだ、


「ねぇ、なんか今プロポーズされてる気持ちなんだけど、、」


「え!?あ、ごめん!でも今日から1年間よろしくね!」


ギュッ


彼女の手が僕の手を包み込む。


なんて温かいんだろう。


僕はまだ生きていていいのかな?


幸せになってもいいのかな?


彼女の笑顔がもう少しだけみたい。


そう思った時、


「うん、よろしく」


僕はその言葉を呟いていた。