冷たい風が強く吹き荒れている。

僕にとってこの天気はちょうどいいのかも知れない。



ーお前のせいで、、、俺たちの大事な子を返せ、!ー

あの言葉が頭から離れない。


成瀬秀吾(なるせ しゅうご) 26歳。


今日僕は僕の人生を卒業する。


僕は小さい頃から看護師になるのが夢だった。

小さい頃病弱だった僕は、入院生活を余儀なくされた。

小さい僕にとって入院生活は苦痛すぎたが、そんな入院生活を乗り越えられた理由。


それが僕に親切にしてくれた看護師のお姉さんだ。


ー手術頑張ったんだって??偉いね!!お姉さん尊敬しちゃう!!!ー


ー辛いね、、、もう少しの辛抱だから!お姉さんと一緒に乗り越えよう!ー


僕が辛い時、いつもそばにいてくれて励ましてくれたお姉さんに憧れて、僕はこの時看護師になりたいと強く思った。


それからは体を鍛えて、なんとか高校を卒業し、看護の専門学校に入学。

3年間のつらい実習を乗り越えて、試験に合格し晴れて看護師になった。


仕事内容は思っていた以上にブラックだったけれど、親切な先輩と同僚に恵まれていたため、とても充実した生活を送っていた。


だが、今年の11月。


僕は18歳の少女を殺してしまった。


彼女は重い心臓病を患っており、余命宣告をされていた。


きっと彼女は辛い思いをしているだろう。


過去の自分と彼女を重ね合わせ、僕は彼女に生きてほしいと思ったんだ。


ー僕にできることはなんでもいってね!ー

ー頑張ってるね!その調子!ー

彼女は最初生きることを諦めずに懸命に治療に励んでいたが、余命が近くにつれどんどん荒れていった。

ー何が頑張れだよ!!!私のこと知ったように言わないで!!!もう、疲れたの、だから放っておいて!ー


ー君なら大丈夫だよ!生きて高校の卒業式でよう!大丈夫だよ!!ー


余命宣告をされた彼女にとって「生きて」という言葉は重すぎたのかもしれない。


彼女は翌日、亡くなった。


死因は