風で飛んでいきそうなほど、軽い小石でできた墓の前で、私は祈るように手を握る。


【ヘメラ】の焼け跡はもうとうに無くなっていて、私は複雑な気持ちになりながら、アイテルの墓を作り上げた。



(……もし生まれ変わったのなら)



今度は幸せな人生になりますように、と願い私はガーベラの花を添えた。


ガーベラの花は、アイテルの分と、彼より前に亡くなった妹さんの分と用意したのだ。


天国で、2人が巡りあえますように。


そんな気持ちを込めて。




「いつまでそうしてるんですかー?
せーんぱい」



甘えた声で木から飛び降りた“彼”は、私の顔をにやにやしながら見つめていて、苦しくなった。


そうか、私の今の姿は他者から見たら気持ち悪いのか……と、思わざるを得なかった。


“彼”に宿る羽根は輝きを宿していて、私には眩しすぎるのだ。



「先輩って呼ばないで、【エリス】」



私は“彼”の名前を呼んだ。


すると私の声と彼の羽根は共鳴するように、更なる輝きを放ったのだ。