だから、俺は激しく“欲しい”と願ってしまった。


あまりにも君は、俺の求める人だったから。



(ユマ、俺、君が報われるためだったら何でもするよ)



多少強引な手を使ってでも、君が俺の元へと戻ってくれるなら。


俺は、悪人になってもいい。


今度は君の心臓を守り抜いてみせる、そう誓おう。




ブローチをそっと白衣にしまって、俺はパソコンを閉じ立ち上がる。


PHSへ一報入れ、俺は病院の外へと足を進ませた。



(運命は、自分で導くものだよね)



だから、邪魔な人は消えてもらうしかないよね。



(ユマ、俺は君の運命の糸を紡いでみせるよ)



脳裏に浮かぶ、焦るアリアの顔を思い出すと、思わず鼻歌が漏れてしまう。


足取りは君の元へと確と近づいていた。