「アイツほんとに……ヤなやつだわ!!」



わなわなと肩を震わせるアリアの背をそっと撫でると、怒りで身体が熱くなっていくのが分かった。


アリアがここまで人に対して、敵対心を剥き出しにしているのは初めて見た。


しかしそれ以上に、お互いに確実に執着をしていて、ある意味仲の良さを感じさせる。


私はクロイとの関係を聞くと、アリアはすくっと立ち上がり、燃える瞳でこう答えた。



「クロイ・トワイライト。
アタシの研修医時代の同期よ。
前期でも後期でも一緒だったから、ある意味縁が切れないわね」


「なるほど……」


「あの性格だから、研修医の中でも相当浮いてたわよ」



──でも、本当に優秀で要領はすこぶるいいの。


アリアは少し悲しげな目をしてそう答える。


クロイは、アリアと違って上級医に頼られる。


他職種ともよく関わるから、顔もかなり広い。



「現場で動けるタイプだから、上へのしあがれるの。
だからアタシ、馬鹿にされても本当は文句は言えないのよ」



同じ循環器科を専攻した癖に、予想よりもクロイは活躍して、役職もついている。


技術も遥かに向こうが上だ。



そう言うアリアは──……自分を卑下してるようで、胸が苦しくなる。