「奪った症例を一丁前に学会で発表してんじゃないわよ!
せめてアタシの名前も書いときなさいよ!」


「うーん、でも結果的に“俺が成功させた”症例だよね?
俺の名前で十分でしょ」


「なんですって~…!!
鎮静無しでアブレーションしてやるわよ!?」


「そりゃどーも。
お礼は終日トレッドミルでよろしく」



仲が良いのか悪いのかの、瀬戸際で揺れている。


やりとりの内容は専門的で分からないが、それでも煽りととれるのはよく分かる。


両者は絶対に譲らず、根負けする様子もないため、私はアリアの腕をそっと引く。


その様子を見たクロイは、また意地悪そうな表情を浮かべる。


「へー、アリアに彼女とはねぇ」と言うクロイの思惑を必死に否定し、私はどっとエネルギーを消耗してしまう。



「私は、アリアさんの家に居候させて頂いてるだけです。
決して男女の関係ではないです……!」


「ホントかなぁ?
それにしては結構慌ててるみたいだけど」