ニュクス循環器センター・医師
【クロイ・トワイライト】。


小さく【センター長補佐】と名札に書いてある限り、相当研鑽を積んだ医師であることが分かる。


しかし、その経験とは裏腹にかなり見た目は若く、思わずその役職を疑ってしまうほどだった。


それに普通の女の子であれば、見惚れてしまうような、麗しさを併せ持つ美青年だ。



「君の名前は?」



正直答えたくはなかったが、アリアさんに連れられて来た手前、迷惑を掛けられず答えてしまう。



「……ユマです。
苗字はちょっと、言いません」



厄介な人に捕まってしまったな、なんて思いながらちらりとクロイさんを見つめると、そこには予想だにしない表情を浮かべていた。



「………」



何かを、想い馳せるような表情。


思い詰めている表情にも見える。


しかしその中には驚きも含まれており、私とクロイさんの世界は、一瞬2人を置き去りにして止まった。


もしかして、私のことを知っているのだろうか。