(潮のいい香り、こんな感覚感じたことないわ……)



思わず目の前の光景に衝撃を受け、渡されたフィルムカメラで写真を一枚撮っていた。


そんな私を、後ろからアリアは撮っていたようで、悪戯っ子のように微笑んでいる。



「だってこんなに嬉しそうなユマ、見たことないもの。
激レアだから撮っちゃったわ!」



嬉しそうなアリアを見つめると、私も同じような気持ちになり、悪戯でアリアも撮ってみせる。


きっと今お互いの心が通じ合っている気がして、自然と笑顔になった。


潮騒と波打ちが私の心を癒してくれるようで、私は初めて生きていて安心しているのだ。





「どう?チョコミントのお味は!?」


「歯みがき粉…?の味がします」


「あ~~ん、やっぱり皆そう言うのね…。
ま、いいわ!アタシだけがこの良さを分かっていれば!」



海を見渡せるベンチに2人で座り、アイスをシェアしながら頬張ると、自然と涼しい気持ちになれた。


こんなときでもアリアは抜かりなく、私に日焼け防止でアームカバーをつけさせ、冷感ミストを振りかける。