「明日は何を作ろうかしら~、蒸籠(セイロ)でも買って外国の料理でも試してみようかしら?」



ダイニングテーブルで2人でハンバーグを食べていると、アリアが「良かったらアタシと外出しない?」と誘う。


外出は、繁華街で倒れた以来だ。


実のところは、火傷への感染を防ぐためにアリアが制限していたというのが正解だが。



「行きたいです、私少しでも記憶を取り戻す手掛かりが欲しいんです」



そう言うとアリアは「決まり!」と手を叩いて嬉しそうだ。


父親がいるとこんな感じなのだろうかと夢想してしまう。



「それなら、買い物ついでにどこかで遊びましょう!
その方が楽しいじゃない!」


「アリアさんは行きたいところとかありますか?」


「うーん、そう言われると迷っちゃうのよね。
今まで病院と家の往復だったし…」



口を尖らせるアリアが何だかおかしくて、私はハンバーグを食べながら笑みが漏れてしまう。


その時私はふと、アイテルと話したことを思い出した。