「アタシは“アリア”って言うの。
こんなナリだけど、一応オトコよ」


「男の人……」


「そうよ。
でもオンナのコのハートもあるから、仲良くして頂戴ね」



こくりと少しだけ頷くと、「いい子ね」とアリアは感心したような表情を見せる。


しかし段々とアリアの表情は曇っていき、私はどくりと心臓が脈打つのを感じた。



「アナタ、繁華街のど真ん中で倒れていたけど……何かあったの?
服もボロボロだし、大切な顔に傷がついてて大変だったのよ」



その一言で私は、火災した【ヘメラ】から逃げたのだと嫌でも気づかされた。


煤だらけの服は所々穴が開いており、そこから覗く皮膚は少し赤くなっていた。


中には水ぶくれになっている箇所もあったが、幸い潰れたり感染したりなどはしておらず、ただ痛々しい姿がそこにあった。


顔を少し触れてみると、頬が少し掠れて、じくじく痛むのを感じる。


私は今、“生”を感じている。