「──続いてのニュースです。先週世間を賑わせていたカルト集団【ヘメラ】の本拠地が火災し、信者含め十数名が死亡する事故が起きました。

警察は放火の線を考え、捜査を進めている模様ですが、いずれも容疑者特定には至っておりません」



繁華街をあてもなく歩くと、物騒なニュースが耳に飛び込んでくる。

耳を塞ぎたくなるが私はぐっと堪えて、ニュースが写っているモニターを凝視した。

モニターには炎上の痕がくっきりと残った施設が写し出されている。

焼け跡から見える衣服を見るたびに、その火災がどれほど酷かったものかが分かる。

それを見た瞬間、私の目は悲しみで潤み、頬には一筋の涙が伝った。



私が涙が出てしまう理由など1つしかない。


私はあの場所で──……人を殺したのだから。