「天使様は、どこか行きたいところはある?」


「そう言われると悩むわね…強いて言うなら“海”かしら」


「“海”か、いいね。
俺実は海で泳いだことがないんだ。
きっと冷たくて気持ちいいんだろうね」


「ふふ、じゃあアイテルが行きたいところは?」


「“星の見える丘”かな。
天気が悪かったら。プラネタリウムでもいいな。
北斗七星って、いつの時期に見れるんだっけ?」


「北斗七星は一年中見えるのよ。
でも私、星をしっかり見たことなんてない気がするわね」


「一年中見える星って素敵だなぁ。
一年中ずっと見守ってくれるなんて、まるで天使様みたいだね」



そうかしら、なんて言って……君は自身の綺麗な白髪を指で撫でていく。


君の青色の瞳は、この時間だとまるで夜空のように見えて、惹かれてやまない。



(ああ、本当に……綺麗だな)



ぼんやりと天使様を見つめると、不思議と手が伸びて、君の頬へ触れていた。


天使様だから、触れられない。
分かっていた。


案の定俺の手は、天使様の身体をすり抜ける。


けど何故か君の感触と温もりを感じて、もう一度そっと頬に触れた。



君の目は、大きく揺らいでいた。