きっと俺が泣きそうなのは、この世を憎んでいるから。



───身体がくっついてるなんて気持ち悪い。



初めて母を“ママ”と呼んだ日に、そう言われた。
そして俺は気持ち悪い人間だと
沢山の人に蔑まれて、家の外から出られなかった。



───君の妹は金の卵だ!その価値を広める必要がある!



けれど、ある日外へ出た時に【ヘメラ】の創設者と出会った。
彼は、妹を金の卵と言って力を手に入れようとした。



───お母さんもう面倒見きれない、だからそのお兄さんについていきなさい。



そして育ての親は、俺たち兄妹を見放した。
だから、【ヘメラ】の創設者についていくしか道は無かったんだ。





───お兄ちゃん、私、こんな力なんて欲しくなかった。



妹と俺が切り離される日、手術台の上で妹はそう呟いた。
それが妹の、最期の言葉だった。


俺も同じ気持ちだよ。


なんて言いかけた時に麻酔が効いて、俺は一瞬にして夢の彼方へ耽っていた。