意外に照れ屋さんなんだね、と言いかけて止まった。


こういうのって何て言うんだろう、ツンデレ…なのかな。


でも俺が昔好きだった、近所の子に似ているななんて少し想像する。


あの子も些細なことで顔を真っ赤にして、怒っては可愛い仕草を見せていた。


妹と身体がくっついていて、偏見の目で見られ、悲痛で満たされていた時にあの子と出会ったからだろうか。


あの子は、自然と俺の光だった。


心に広がる“幸せ”という感情を、あの子が初めて教えてくれたんだ。



「恋愛感情は半分正解。
俺の求める“愛情”は、無償の愛かな」


「無償の愛……」


「さっきも見た通り、俺のまわりには俺を利用しようとする人間ばかり集まるからね。
だから、まっさらな心で俺と接してくる人が欲しかったんだ」



例えば、今目の前にいる天使様とか。



「アイテル」


「……ん、俺の名前呼んだの、会って以来じゃない?」


「名前、呼ばれて嬉しい?」



ああ、なるほどと理解する。


伺うような天使様の顔を見ると、天使様なりに愛情を与えてくれようとしているのだと気づく。


普通なら手っ取り早く、身体が触れることができなくとも、俺を抱き締める仕草をすればいいのに、彼女はそれをしない。


不器用な天使様を少し愛おしいと感じながら俺は、「嬉しい」と返した。


その目の端は何故か、涙で少し滲んでいた。