つまらなくて、残酷な俺の世界に

突如として君は現れた。




真っ白の羽根を宿し、光輝く輪を頭上に浮かべる

唯一無二の天使様だった。






「アイテル様……私は家族に酷いことをされてきたのです。
この傷はもう癒せないのでしょうか……」



祭壇の椅子に俺は腰掛けながら、目の前にいる女性の話を頷きながら聞く。


年齢不相応、といったところだろうか。


女性は事前に語っていた年齢よりも、顔と手にしわが寄り老化を感じさせ、かなり憔悴している。


よほど酷いことをされていたのだろう。


女性の目は涙で一杯にたまり、今にも溢れそうである。



「大丈夫ですよ、ここにはあなたが恐れる家族はもういない。
自由に羽根を伸ばせるところでもあるのですよ」



優しい言葉にのせて、にこっと優しげに相手に微笑んで見せる。


そうすれば、大抵の人間は現状から回復する。


もうこの光景は、見慣れたものだ。


力の無い俺に、力の無い人が集まり、慈悲を欲しがるのは──あまりにも滑稽だ。