「医師のサンライズです。
ご無沙汰してますね」


「…え、はい……どうも」



ニュクス大学病院、循環器科・心臓血管外科部長。


アリアと同じ血を引く、まさしく医療の神と呼ばれるサンライズ一族の人物である。



「アリアが同期としてお世話になったそうで」


「……ええ」


「私はアリアの兄にあたるものです。
【アリシス・サンライズ】と言います。
そして、ユマ・オーウェンさんの執刀を担当します」


「なっ……!

執刀、だって………!?」



“執刀”、それは患者へ手術を行うこと。


ずっと待ち続けていたドナーが見つかり、心臓移植をする決定が下された瞬間であった。



「脳死患者の心臓を搬入するため、急ぎにはなりますが本人さんの家族を含め心臓移植の説明を行います」


「はい…!よろしくお願いします!」



ユマの手をぎゅっと握ると、彼女も話を聞いていたようで、か細い声で「よかった」と呟いた。


そこから彼女は病衣に着替えたりなど準備を初め、俺は別室へ移され執刀医からの話を聞いていた。