「俺は、元々“結合双生児”だったんだ」



───“結合双生児”。



別名:シャム双生児。


身体同士がくっついて生まれてきた、双子。



「脇腹辺りに、俺と妹はくっついてたんだ。
けれどお互いを離す手術中に、妹は亡くなってしまった」



アイテルは懐かしむように私の姿を見つめる。


「天使様は、俺の妹に似てる気がする」と冗談混じりに呟くが、その目は笑ってなどいなかった。



「妹は、俺とは違って特殊な力を持っていた」


「…特殊な力?」


「透視が出来たんだ。
物に限らず、人間の身体もね。
だから、この【ヘメラ】を作った人の病気にも気づくことができたんだ」



まだ、妹と身体同士がくっついていた時に──と、話は続く。


ある日、アイテルと妹が散歩していた時に、【ヘメラ】の創設者と出会った。


妹は【ヘメラ】の創設者を見た瞬間に、身体に腫瘍が出来ており、余命まで言い当てたというのだ。


【ヘメラ】の創設者は、妹に感謝し双子を神として扱うようになった。




そしてその力を、知らしめようとした結果が、これだった。