ぼそぼそとクロイとアリアが話し合っているが、難しすぎて私には1mmも分からない。



「これ、縫合線法だわ」


「だとしたら僧帽弁がこの状態なのは普通か…」


「心内血栓が無いなら成功してるわね」



ぽかーんと口を開いた私を見かねたアリアは、肩を擦りながら説明してくれる。



「以前アタシが言ったこと、覚えてる?
もしかしたらユマが心臓移植を受けてるかもってこと」



指差したエコーの画面には、心臓の中に棒状の白い影があり、違和感を感じる。



「これはね、“縫合線”って言うの。
心臓移植をしましたっていう、証なのよ」



今まで、本当に心臓移植をしているのか、自分で自分を疑うこともあった。


しかし、今私はまさに……その証拠と言えるものを目の前で見ているのだ。


私の瞳はだんだんと潤んでいき、目尻から一筋の涙が溢れた。


悲しかったからではない。


きっとこの涙は、私の記憶のパズルの大切なピースとなるのだと、ぎゅっと心を掴まれたから溢れたのだ。