「君は髪の毛が真っ白だから、牛乳とか好きそうだね。あ、目は青いからブルーレモネードとか?」


「だから分からないってば…。
貴方は銀髪で琥珀色の瞳をしているから、金属と鉱物が好きそうね」


「あれ、ビンゴ。もしかして天使様、ずっと俺のこと見てた?」


「見てた。貴方も、【ヘメラ】も」



陰りを帯びた後の祭壇の向こう側は、雨が滴り私たちの声を遮った。


地ならしのように、ゴロゴロと宙から雷の音が聞こえる。


まるで雷神が怒ってるかのように稲妻の一撃が落ちると、貴方の口角は静かに月の形を描いて、消えた。



「……天使様、どうして俺が奉られているのか知ってる?」



首を横に振ると、貴方は着ていたシャツを脱ぎ捨てて、露になった上半身を私に見せた。


良く見ると、側腹部にまるで亀裂が走ったような、大きな傷跡が存在していた。


傷跡にしてみれば、ケロイドに近いような感じで盛り上りがあり、周囲の皮膚も突っ張ったような印象である。


腫瘍を切除した、手術を受けた──にしてみては、やけに違和感がある。