「アイスをいっぱい食べれますように」


「たくさん遊べますように」


「夏休みの宿題が終わりますように」






「夏希とまた会えますように」






それが最後だった。

泣きながらも、やっと言葉にできた。

私が5年前にした最後の願い事。



今でも鮮明に覚えている。


毎日キラキラしてて、楽しくて、その中にはいつも夏希がいる。

5年前、ずっと思ってた。


次、いつ会える?

今、何してる?

話したい。遊びたい。

そばにいてほしい。




私はいつしか夏希を好きになっていた。





気づいたところでまた夏希に会えるかわからない。

この、気持ちは線香花火みたいに儚く散ってしまいそうで怖かったんだ。





「願い事」

「せえへん?」



昔のことを思い出していたら、もう線香花火は最後の2本。

また一本ずつ分け合って火をつける。



「いっせーのーで で願い事言わへん?」



そのセリフ、いつもは私からだったのに。

嬉しかった。

初めて聞ける夏希の願い事。

私のはもう決まってる。

お別れの日、夏希がくれた花。

お母さんが教えてくれた「この花はリナリアっていうのよ」って。

帰ってから調べた花言葉は「幻想」、「乱れる乙女心」そして、、、、




「いっせーのーでっ」








「この恋に気づいてくれますように」