5年前、小学生だった私は夏休みになるとおばあちゃんの家の近くに住む夏希とよく遊んでいた。
すごく元気で明るい男の子。
よく一緒に花火をやっていた。
同時に火をつけて、同じようにじっとして。
なのに、なんで私のだけこんなに早く終わっちゃうの?
「なんでかわかるか?」
ただめんどくさくて、勝てないとわかっていた。
だから適当に言ってしまった。
「私が下手だからでしょ」
拗ねたような顔をした、過去の自分が恥ずかしい。
「ちゃうで、ちゃんと願い事してへんからや」
「願い事?」
「そうや 心の中で願い事言うんや」
少し首を傾げる私に彼は笑いかけた。
そして線香花火に火をつける。
パチパチと音を立てて、お互いに競っているようだ。
悔しかった。
公正に勝負して絶対に勝ちたかった。
だから私はいつもこう言う。
「いっせーのーで で願い事言おうよ」
彼が嫌そうな顔をしているのも気づかずに、私は全く遠慮しない。
「心の中で言うのでええやん」
そんな彼の言葉も無視して私は言った。
「いっせーのーでっ」
「明日は夏希と虫取りできますように」
私がそう言った時、彼は下を向いて黙った。
独り言のように言ったそれは、なぜだか花火に吸い込まれていくようだった。
「なんでお願いしなかったの?」
彼にそう聞いた時は暗い顔をする。
だから私はいまだに夏希のお願いを知らない。
それからは線香花火にたくさんのお願い事をした。
すごく元気で明るい男の子。
よく一緒に花火をやっていた。
同時に火をつけて、同じようにじっとして。
なのに、なんで私のだけこんなに早く終わっちゃうの?
「なんでかわかるか?」
ただめんどくさくて、勝てないとわかっていた。
だから適当に言ってしまった。
「私が下手だからでしょ」
拗ねたような顔をした、過去の自分が恥ずかしい。
「ちゃうで、ちゃんと願い事してへんからや」
「願い事?」
「そうや 心の中で願い事言うんや」
少し首を傾げる私に彼は笑いかけた。
そして線香花火に火をつける。
パチパチと音を立てて、お互いに競っているようだ。
悔しかった。
公正に勝負して絶対に勝ちたかった。
だから私はいつもこう言う。
「いっせーのーで で願い事言おうよ」
彼が嫌そうな顔をしているのも気づかずに、私は全く遠慮しない。
「心の中で言うのでええやん」
そんな彼の言葉も無視して私は言った。
「いっせーのーでっ」
「明日は夏希と虫取りできますように」
私がそう言った時、彼は下を向いて黙った。
独り言のように言ったそれは、なぜだか花火に吸い込まれていくようだった。
「なんでお願いしなかったの?」
彼にそう聞いた時は暗い顔をする。
だから私はいまだに夏希のお願いを知らない。
それからは線香花火にたくさんのお願い事をした。