神学校でも一般教養の授業はあったにはあったけれど、経典や神聖魔法の授業に力点が置かれていた。
それゆえに、マルティーナは恥ずかしながら世界地理に疎かった。
(パウラさんに質問する……のは失礼よね。機会を見つけて、自分で調べるほうが正解のはず……)
「私はマルティーナよ。こちらこそよろしくね、パウラさん」
「パウラでいいよ」
「なっ、なら私のことも呼び捨てしてほしいわ!」
「うん。ねえ、マルティーナはどこの国から来たの?」
(うっ……!)
「……ルーボンヌよ」
「ルーボンヌって、まさかあのルーボンヌ神国!?」
パウラが目を見開いた。
「神聖魔法の国だよね?」
ズドンっと衝撃を受けた胸が痛い。
にも拘らず、マルティーナは涼しい顔で答えた。
「ま、まあそうね」
(魔法大国に留学してきた以上、これから何十回何百回とこの質問はされることになる。大丈夫、何度もシミュレーションしてきたじゃない)