真新しい制服のみという身軽な恰好で外に出た。
 ルーボンヌがあるはずの方角を見上げた。
 わかってはいたことだったが、何も見えはしなかった。

(それほど遠くに来たんだわ……)

 それでも、この地にも神聖力があるらしいことを感じる。

 神聖力を感知する能力が低い自分では、ここアンダルイドでは神聖魔法が全く使えなくなるのでは……と心配していたが、どうやら杞憂だったようだ。

 もっともこれから自然魔法を学ぼうとしているのだ。
 神聖魔法が使えなくとも、何ら問題はないはずである。
 それでも信仰心は人並み……いや、人並み以上にもっているマルティーナにとっては、神聖力を感じられることは堪らなくうれしい。
 祖国を去ったとしても、神は自分を見捨てたりはしないことの証だと思えた。