「ちょっとー」
パウラがウーゴを肘で突いた。
「そっか、ごめん。国や身分によっては、異性に直接触れないんだったんだ。うっかりしてた」
「そんな……私のほうこそごめんなさい」
(こんなことではいけないわ。私はもはや、ルーボンヌ神国のロメーロ伯爵家令嬢ではないのに……)
覚悟が足りなかったことを思い知り、少し落ち込んだ。
「ああ、ホント気にしないで。ウーゴには、そのぐらいの距離感でちょうどいいよ」
「うわー、そういうこと言うなよ。初対面から誤解を受けるだろ?」
パウラは鼻に皺を寄せ、舌を突き出した。
しかし、それからすぐにウーゴと同じタイミングで噴き出した。
マルティーナの目には、一連のパウラの表情がとても魅力的に映った。
そして、ふたりを眺めながらワクワクしてくるのを感じた。