「私も自国では神聖魔法を学んだんだけど、その……私はどうしてか自然魔法も使えるみたいで……」

 正確ではないかもしれないが、嘘はひとつもない。
 マルティーナは神聖魔法のうち、治癒魔法だけなら使えるのだから。
 その威力は、聖女になるにはほど遠いほど弱いものではあるけれど。
 そして、神聖魔法よりも、自然魔法のほうがはるかに得意だけれども。

「そうなんだー」

 パウラは特に疑問を抱いていないようだ。
 そのことに胸を撫で下ろした。

「ほかにルーボンヌからの留学生はいるの?」
「いない……と思うわ」

 『思う』ではない。
 確実にいないと知っていた。
 どれだけ過去に遡ったとしてもだ。
 だからこそ、マルティーナの留学は異例中の異例、前代未聞のことだった。

「だったら私と友達になってくれない?」
「えっ、も、もちろん。うれしいわ」

 パウラからの思いがけない提案に、胸が躍った。