「初めに話した時も、恋人だって思われてた気がするし、今だってそう思える発言しかしてないじゃん」

「直せてないんだな俺って、まあ、いいよ、エスコートするから行こう。話しながら聞くよ、なんで夏祭り行きたかったのか」

「そういうとこ、早く直した方がいいよ、自信持ちすぎ」

そういう彼女の背中を軽く押すと、彼女は歩き出した。

「私、みんなと普通のことしてみたかったんだよね。ほら、私って誰とも話さないから、そういう経験したこと無くて。なんか無駄なことって思ってたんだよね、こういう祭りも」

「あー、話しかけないオーラしか放ってないからな。無駄なことか…それは、なんで?」

直接、言いすぎたか?

「楽しいって思えるのか疑問だった、親が厳しいから祭りなんて連れてってもらったこと無いし、行くところじゃ無い、バカが行くところだって教わった」

「じゃあなんでそのバカになろうと思ったのか聞いていい?」

「行った人たちの帰り道での顔は、みんな幸せそうに見えたから、私幸せ感じたこと無いの」

なんて言うか予想通りって感じするな。

「その感覚は正しいよ、今日はしてみたいことなんでも言いな、祭りの楽しみ方を俺が教えてやる」

「んー、まあ今日は預けてみてもいいかな、楽しむつもりで来たし、ほんとに幸せ感じるのか」

俺の得意分野かな。