保健室のドアが勢いよく開く。


養護教諭の星野は、颯太に担がれて運び込まれて来た真っ青な顔色の詩を見た瞬間、ただごとではないと感じた。


「先生、詩が…詩が…!」


由羅が涙を浮かべながら話す。


「落ち着いて。何があったの?」


「わからない…でも、さっきから顔色悪かったし、目眩もするって言ってた…」



詩のことは、重い喘息持ちということで入学当初から気にかけていたが、喘息は出ていない様子で、呼吸は安定している。


しかし、顔色が悪く、意識は完全に無かった。


また、倒れた時におでこを打ったようで、出血していた。


星野は急いで救急に電話をかける。


「もしもし…救急車をお願いします。七岡高校です。生徒が1人倒れて、顔面蒼白の状態で頭部も怪我しています。……はい、お願いします!」