一時退院中の生活は、綾人の健康管理もあり、体調が落ち着いている日々が続いた。


午前中のみ学校に行くことを許可された詩は、毎日とても楽しそうに通っていた。

毎晩綾人の分の食事も作っている。


医師だった詩の母親はとても忙しく、小学生の頃から最低限の家事をしていた。

それもあって、料理を含め家事は得意だった。


詩には無理をするなと言いつつも、これまでほぼ自炊をしていなかった綾人は、帰宅すると温かく美味しいご飯が用意されていることをありがたく感じていた。


いつまでも子供だと思っていた詩が、これほど生活力があったことを知り、同居してすぐの綾人はとても驚いた。

闘病のためとはいえ、詩との幸せな生活。


穏やかな日々がずっと続くように願っていた、一時退院最終日のこと。