綾人と萌音らスタッフたちが駆けつけると、酸素が上手く取り込めず、溺れてしまっているような苦痛により、苦しがっている詩がいた。


酸素飽和度が下がり始めている。



「詩!」


「詩ちゃん!先生来たから、もう大丈夫よ!」


「…あやと……」


「頑張れ!すぐ楽にしてやるから!……挿管の準備を!」


「…迷惑…かけて…ごめん……」


「もう話すな!」


声を振り絞る詩だったが、だんだん目の前が暗くなるのを感じていた。


─アラームの音も、綾人の声も、全部がどんどん遠くに感じる…私、死ぬのかな…?

もう楽になれる?


綾人に迷惑をかけっぱなしだったな…



フッと体から力が抜け、微動だにしなくなる詩。

酸欠により、詩は意識を完全に失ってしまった。


「詩!!」


荒かった呼吸も、次第に弱まっている。




「すぐに挿管する!」



バタバタと医師や看護師が集まり始めた。


綾人が真剣な顔で救命処置を行っている。



「頑張れよ…!詩…!」