「あーれ〜?バレちゃった?」


暗い暗い暗闇の中、月明かりに照らされ妖艶な笑みでこちらを見てきた。

逃げ出したい。

本能的にそう思ったのに足が動かない。

徐々に近づいてくる最上くんに恐怖すら覚える。

私の顎を掴み、上を向かせた。


「あーあ、泣きそうになって…可哀想。…なあ、この事誰かに言ったら…」


突然血を這う様な声で脅してきた。


「分かってます分かってます!」


そう言って走って逃げた。


「渡瀬…」


どんっとぶつかった相手は渡瀬だった。


「最上玲都は白虎(びゃっこ)の総長っすよ、朔羅さん」


「…っ、やばいじゃん…!暴走族と関わったらっ」


「…朔羅さんが関わりたいのなら我々は止めませんし、協力します。なので、したいようにしてください」


そう優しく笑いかけてくれた。


ーーーー


「内心びっくりしてましたよ」


「そりゃ、逃げてたしね?」


可笑しそうに笑う最上くんは見れば見るほど綺麗な顔してるなぁと思う。