「それにしても珍しいよな、お前」


「お前じゃなくて、朔羅です。怪我してたら助けなきゃじゃないですか」


「でも、俺のことを知ってる奴は仲間以外は助けねーよ」


そう言い放つ最上くんに親近感が湧く。

…そんな悲しい顔、しないで欲しい。


「私は助けますよ。困ってる人を助けるのは余裕がある人だもん」


自分の敵も全然助ける。

ただ、大切なものを壊されたりしたら、私はもう永遠に許さない。

そっと美波の額に手を当てる。

強い人は、上に立つ人は弱い人に、下に立つ者達に手を差し伸べなくてはならない。

そう遠回しに行ったのが伝わったのか、「そうだな」と真剣な顔で言う最上くん。


「可愛いものには旅をさせろって言うけど、大切に大切に護りたいよね。」


汚れを知らずに生きてほしい。

ずっと、キラキラしたその顔で過ごしてほしい。

汚れを知らないその瞳で。

なんて、私が奪ったものを今更願うなんてね。