「…すぐそこだよー!」


「ん、最上くん。ケガの手当てするから今から家に来てください」


「…おもしろそーだし、いいよ。着いていってやる」


快く受け入れてくれた最上くん。

良かった…。

でも、警戒心薄いな……大丈夫かな?


「朔羅さん、その方は?」


敵意を露わにする運転手兼ボディーガードの詩乃(しの)。

最上くんまで警戒しちゃったじゃん…。

詩乃の睨みはかなり怖いからなー。


「クラスメイト兼怪我人。最上くん、この人は幼なじみのお兄さんの紬(つむぎ) 詩乃」


「ぶっっ、クラスメイト兼怪我人って…ッ」


お腹を抱えて笑いました最上くんを、無理矢理車の中に入れた。


「笑わないでよ!…美波、寝といていいからね。詩乃、出発して」


「はーい」


カーブミラー越しに見えた詩乃の顔は笑っていた。

もうっ!みんなしてっ。


「…そいつ、寝んの早いな」


私の隣で眠っている美波に指を指しながら言った。

あー、うん。


「美波は12時間寝ないとだからね〜」


スラスラと嘘が言える自分に感心する。