「えへへ。んふ、ふふふっ。」


可愛い笑い声が聞こえたから、ちらっと前を見る。

その可愛さに、口が開いて閉じなくなった。


黒百合さんは、両手で口元を抑えて、意地悪に目を細めて、無邪気に笑っていた。




「…可愛いすぎる」


「んふぇ？」



ポロッと口から出てしまっていたらしい。



バッと口元を抑えたがもう遅い。




ピーッと湯気が出そうなほどに、

顔が熱くてたまらない。




黒百合さんも、真っ白な肌をこれ以上ないくらいに赤く染めて、目線をキョロキョロと動かして戸惑っていた。



「忘れてください」


黒百合さんは、目をまたキラキラキラッと輝かせて、両手で大きく開けた口元を抑えたまま俺に背を向けた。

「…んへへ、んへ、えへへっ、忘れないっ！」





ぴょんぴょんと飛び跳ねている。


黒百合さんの頭の上にうさぎの耳が見える。



ボーッと後ろ姿に見とれていると、黒百合さんは突然クルッと振り返った。


「雄大くんに会えて良かった！」


にひひっと笑ったあと、またくるっと背中を向けてぴょんぴょんと跳んでいる。


眩しいほどの笑顔でそんなことを言われて、俺の頭はボンッと爆発した。


黒百合さんの笑顔が、しばらく脳に張り付いて離れなくなることを確信した。