「そもそも、殺さなくていいならじゃあ、成仏の手伝いって俺は何をすればいいんですか。」



はぁ、と息を吐き、スマホをちらっと見る。




「その、スマホっ!調べ物を、して欲しいのっ。」



泣きながらパンっと手を合わせてお願いされた。



「調べ物?…って言われても。」


黒百合さんを横目に見ながら、また百鬼一家殺人事件について検索をかけてみる。




「犯人の情報、なーにも分かってないらしいじゃないですか。」


犯人は指紋も何もかも残さず、姿を消したという。



インターネットに蔓延る考察班っつーのも、全くもって分からず。

特定班っつーのも、お手上げ状態だと。



どうやって調べろというのか。




「犯人が分かったらすぐ伝えて欲しいの!あと、犯人が分かるまでの、話し相手になってほしいな。」



ズズッと鼻水をすすって、ビショビショの顔のままクシャッと笑顔を作って言う黒百合さん。




幽霊でも、涙とか鼻水って出るんだなぁ。


『分かったら』と言われても、誰かが見つけてくれない限り、俺には何も分からないけれど。




「お易い御用です。」

かっこよく言おうとしたが、気恥ずかしくて、思わずすぐ顔を伏せてしまった。