「黒百合さんは、この犯人を見つけて、どうしたいんですか。」


『犯人の特定には至っていない。』という文字に目を合わせながら聞いてみる。



しばらく泣き続けた後、やっと泣き止んだ黒百合さんの方を見ると、さっきまでキラキラしていた目の光を全て消して、どこか遠くを見るような目をしていた。


俺が見ていたのに気づいたのか、ゆっくりとこちらを向いて、ピクピクと口角を震わせながら、引きつった怖い笑顔をつくると、


「犯人を見つけて、そいつ以外の家族全員めちゃくちゃに殺してやるんだぁ」


と言った。

さっきまで黒百合さんの目から溢れ出ていた涙の粒が、1粒だけ黒百合さんの頬に残って、恨みを訴えるように光っていた。



「えっと………」


つまり、成仏に手伝うというのは、【人殺しをしろ】という事だろうか。

顔がサーッと冷たくなって、少し肌寒くなる。



可愛いと思っていた黒百合さんが、この時ばかりは怖くてたまらなくて、鳥肌が足元からブワッと立ち、身体がブルブルと震えた。