「その夫婦は、そのあとどうなったの?」

「すぐに引っ越していったよ。それからもいろんな人が住んだけど、みんなすぐに引っ越していくそうだよ」

私は不思議に思った。

最初はただの壁紙だけだったのに。なぜ今はクローゼットの奥にあるのだろう。

「たぶん、見つけづらくするためにクローゼットを作ったんじゃない?そうしないと住む人、いなくなっちゃうから」

桐ヶ谷くんが私の考えを読んだように言った。

「どうすればいいの?」

「うーん、とりあえず、除霊できるか試してみよう」

桐ヶ谷くんは、どこからか、お札を取り出した。

「まずは霊に出てきてもらう。少し下がってて」

桐ヶ谷くんが何か呟くと、クローゼットが開いて、あの男の子が出てきた。

「君はもう亡くなってる。もうこんなところないなくていいんだ」

「僕、死んじゃったの?」

「うん。だからもう成仏しよう?」

男の子は戸惑っていたようだが、ゆっくり頷いた。

男の子に向かってお札を投げた。

白い光に包まれて、男の子は消えた。

「はい。終わり。もう大丈夫だよ」

「今の何?」

私は今起こったことが理解できなかった。

「除霊だよ」

桐ヶ谷くんは涼しい顔で言った。