不思議な形をした網のようなものを渡された。

羽根のようなものもついている。

「あなたの夢にお邪魔させてもらったお礼。きっとあなたを助けてくれるわ」

そう言って、笑顔で消えて行った。

「成海さん!」

後から追いかけてきた二人に指輪を渡せたことを言った。

「よかった。早くここを出よう」

そう言って、部屋を出ようとした時、ドアが勢いよく閉じた。

「逃がさない。私の屋敷に無断で入った不届きものども」

男の声で恨めしそうに言った。

「弘人!お札を」

桐ヶ谷くんは、お札を取り出して、何か唱えた。

すると、ドアが開いた。

私たちは急いで部屋から出た。

「逃さんぞ」

後ろから声が追いかけてくる感覚があった。

床に散乱していた食器が浮いて、私たちの方に飛んできた。

当たりそうになったのを、間一髪で避けた。

必死に逃げていたら、またふたりとはぐれてしまった。

「どこに行った…」

あの低い声が私たちを探している。

どこかに隠れないと。

「お姉ちゃん、こっち」

小学生くらいの男の子が立っていた。

私の手を引いて、出口まで案内してくれた。

「僕のお姉ちゃんを助けてくれてありがとう。お姉ちゃんの友達もちゃんと出口まで案内してもらってるはずだから、早く外に出て」

私は男の子に背中を押された。

「ありがとう。助けてくれて」

私がそういうと、男の子は、静かに消えた。

「ほんとに出られた…」

「良かった。二人とも無事なようだな」

それぞれ別の場所から、桐ヶ谷くんと、千鶴さんが出てきた。

「二人とも、どうやって出てきたんですか?」

千鶴さんは、給仕の格好をした女性に、ここまで案内されたらしい。

桐ヶ谷くんは、執事の格好をした青年にここまで案内されたようだ。

「あの四人が、助けてくれたんだ」

私は心の中でもう一度、お礼を言った。