今度は、その骨董品店についての話が書いてある束を見つけた。

その店には、いわくつきのものが多く集まるという。

丑の刻参りで使われたわら人形、何度捨てても戻ってくる人形、死者と話すことができる黒電話など、不吉なものから不思議なものまで、たくさん集まってくるようだ。

「ん…」

そこまで読んだところで桐ヶ谷くんが目を覚ました。

「桐ヶ谷くん、この骨董品店ってどこにあるの?」

「え?ああ、ここだったら俺のいとこが店やってるところだから、これから行こうと思ってたんだ」

桐ヶ谷くんに連れられて、いとこのお姉さんがやっている、骨董品店にやってきた。

「千鶴姉さん」

店内に入り、桐ヶ谷くんが呼びかけた。

「どうした?弘人お前がここに来るなんて珍しいな」

店の奥から、色白で長い黒髪の女性がでできた。

目は切れ長でミステリアスな雰囲気が漂う人だった。

「一緒にいるその子は誰だ?」

女性が私に目を向けた。

「俺の高校の同級生で、の隣の部屋に住んでるんだ」

「あぁ君か。弘人の言ってた子は。なるほど、確かにかなりの霊感を持っているね。ここまで強い人は珍しい」

私は、お辞儀をして自己紹介した。

「初めまして。成海奈々といいます」

「私は弘人のいとこの湯川千鶴だ。大学で研究をしながら、この骨董品店を営んでいる。ところで弘人、今日は何をしに来たんだ?」

「実は…」

私たちはあの幽霊屋敷について話した。

「その指輪なら、店の奥にあったはず。持ってくるよ」

店の奥に行って小さな箱を持ってきた。

「これだと思ったんだが…」

箱を開けると、ダイヤのついた指輪が入っていた。

「でも、あの屋敷の中に入るのは危険だ。出てこられなくなる可能性がある」

桐ヶ谷くんが、神妙な面持ちで言った。

「でも、この指輪を返さないとあの女の人は成仏できないよ。返しに行かないと」

私たちは三人であの屋敷に向かった。

相変わらず、嫌な気配を感じる。

「これを持って中に入れ。君は狙われやすいようだから」

千鶴さんからの数珠を渡された。

私は腕に数珠をつけて屋敷に入った。

屋敷の中は薄暗く、窓ガラスは割れ、誰かが荒らしたよえな形跡があった。

噂を聞いた人が肝試しにでもきたのだろうか?

どこからか声が聞こえてきた。

「ねぇ、早く私を見つけて。指輪を返して」

あの夢と同じだ。

私は、その声に導かれるように、屋敷を進んだ。

一つの部屋があった。

ここから気配を感じる。

ドアを開けて、中に入ると、女性が座っていた。

「やっと来てくれたのね。指輪を持って来てくれてありがとう。あなたの夢に入ることができて、よかった」

この人があの娘さんかな。

とても綺麗な人だ。

私は持ってきた指輪を手渡した。

「これでやっと、あの人のところへいけるわ。お礼にこれを受け取って」