「肖像画」

あの屋敷には、何枚かの絵が飾られている。

家族四人が描かれた絵、若い女性が描かれた絵、花束を持った花嫁が描かれた絵、そして男の子が笑顔で描かれている絵だった。

中でも、若い女性が描かれた絵と、花束を持った花嫁が描かれた絵は、表情が変わったり、話しかけて来たりするという噂だった。

ある大富豪の男が、この屋敷を高値で買い取った。

そして別荘としてたまに来るようになった。

ある日、男は、休暇を利用して別荘を訪れた。

男が花束を持った花嫁の絵の前を通った。

「ねえ」

どこからか声が聞こえた。

男が辺りを見渡すと、あの花嫁の絵が話していた。

「彼はどこに言ったの?早くあの人に会いたいわ」

男は悲鳴をあげて寝室に逃げ込んだ。

寝室には、若い女性が描かれた絵が描かれていた。

その絵を見ると、いつもは無表情な女性の絵が笑っているように見えたのだ。

それを見た男は悲鳴を上げて、倒れてしまった。

そして男はその屋敷を売却した。