「ってベンチの話じゃないじゃない!」

桐ヶ谷くんは、くすりと笑った。

「ちゃんと話に出てきてたでしょ?それとも他の話も聞きたいの?」

「もう大丈夫!」

私は急いで公園から出た。


「次はここだよ」

公園を出た私と桐ヶ谷くんは駅前にやってきた。

「ここにも何かあるの?」

「ここはたまに、電車が変な駅に停まるくらいで、霊はいないはずだよ」

「変な駅?」

「きさらぎ駅とか聞いたことない?ネットで話題なってたんだけど」

「知らない」

小さい頃から変なものが見えることもあったからか、心霊番組や怖い話、ネットなどは見ないようにしていたのだ。

「地図には載っていない駅と言われているんだ。何人か迷い込んだ人がいるみたいで、体験談が投稿されてたよ」

「ずっと気になってたんだけど、桐ヶ谷くんってなんでそんなに怪談に詳しいの?」

「前に言わなかった?おじさんに霊の対処法を聞いたって。その時に怪談とか都市伝説とかもいろいろ調べたんだ。知っていれば出くわした時に役に立つし、俺、霊媒師だから」

霊媒師⁈

初めて聞いた。

「え?桐ヶ谷くんって霊媒師だったの?」

「うん。たまに依頼もくるんだよ。おじさん経由とか依頼人から直接来ることもあるんだ」

そうだったんだ。どおりで慣れていると思った。

「話は戻るけど、電車とか駅にまつわる怪談や都市伝説もきさらぎ駅の他にも色々あるんだよ」

そろそろお昼の時間になったので、駅の売店で売っていた駅弁を買った。

「黄泉の国って聞いたことあるでしょ?そこには電車でもいくことができるんだ。幽霊電車だけどね」

うっかりなってしまったら大変なことになってしまう。

「ある塾帰りの高校生が、こんな体験をしたんだ」