「成海さんは、霊についてどれくらいまで知ってる?」

「うーん、ほとんど知らないかも」

桐ヶ谷くんは、丁寧に教えてくれた。

「まず例には、いい例と悪い例がいるんだ。
いい霊は、守護霊とか、俺たち生きてる人間を守ってくれる霊。たまに生きてる人の強い思いが生き霊って言う霊も生み出すんだ。これは守ってくれる場合もあるんだけど、人を呪ったりすることもあるから、気をつけて。
最後に悪い例、悪霊って言うんだ。これは判断するのが難しい場合もあるから、実際に会うことが会ったら説明するよ。ない方が一番なんだけどね」

では、今まで出てきた、クローゼットの男の子の幽霊や神社に出てきた幽霊の紗夜ちゃん、マンションの幽霊たちはなんという霊だろうか?

「今まで祓ってきた霊たちは、なんていう種類なの?」

「あれは地縛霊。自分が死んだ場所とか、思い入れの強い場所に縛られて、そこから動けなくなっていたんだ。
マンションにいる霊たちも多分そうだと思う」
よし!と桐ヶ谷くんが思い立ったように立ち上がった。

「明日から連休だし、いろんなところに調査に行こう」
「え?調査?なんの?」
「心霊調査。慣れるにはこれが一番」

何事も経験、というけれど、危険なことはできれば避けたい。

「でも、そんな事して、大丈夫なの?」

「大丈夫。前に霊が出てたところだから」

そう言って、またノートを取り出した。

「このノートは、前までは、霊が出てたけど、今はもう成仏した霊がいた場所をまとめたノートだよ」

ノート一冊分にまとめられるほど、霊が多発しているのか。

本当に危険な街だ。

桐ヶ谷くんが、ノートをまとめた中身を見せてくれた。

「まずはここに行ってみよう」

言われるがまま連れてこられたのは、なんの変哲もない公園だ。

「この公園にはね。いくつかの怪談があるんだ」

桐ヶ谷くんは、砂場に目をとめて、話し始めた。