「そしてとうとう、マンションの取り壊しが決まった。でも解体作業中に何人も怪我人が出たり、変なものを見たって話が多く上がって、結局、解体工事は中止になって、そのまま残すことにしたんだ」

だから今は誰も住んでいないんだ。

「どう?マンションのこと、わかった?」

なんだか、知らない方が良かったような…

今更言っても遅いけど。

「確か成海さんの部屋は、あのマンションが見える位置に部屋があったよね?なら寝る時はカーテンは絶対に閉めたほうがいいよ」

あまりに真剣な顔で言われたので、私は黙って頷いた。

「それにしても、桐ヶ谷くんはよくいわくつきだらけのマンションと家が近くにあるのに、住んでいられるね。しかも一人で」

「俺は別に平気だよ。俺のおじさんが霊感があって、俺も小さい頃からいろいろ視えるタイプだったから、おじさんにいろいろ除霊の仕方とか対処法とか教えてもらってるから」

「へぇ、いいなー私も教えてほしいくらい」

桐ヶ谷くんは、腕組みをした。

「よかったら、教えようか?」

「本当に⁈」

思ってもいなかった提案に私はすぐに頼み込んだ。

「すっごく助かる!ぜひ教えてください」