神隠し神社の事件から二週間がすぎた。

クラスのみんなは、未来ちゃんと何事もなく接している。一時的に未来ちゃんに関する記憶が消えていたようだ。

私には、最近気がかりなことがある。

それは私の家の、左隣に建っているマンションだ。

引っ越してきた頃からずっと、嫌な感じはしていたのだが、最近は特に嫌な感じがするのだ。

私は、桐ヶ谷くんに、相談することにした。

「明日、俺の家に来て」

あのマンションのことを話すと、桐ヶ谷くんの家に来るよう言われた。

次の日は学校が休みだったので、朝から桐ヶ谷くんの家にお邪魔した。

「いらっしゃい。上がって」

男の子の家に上がるのは緊張しだが、思えば桐ヶ谷間も私の部屋に入っている。

それはそれで問題だが、あまり気にしないようにした。

「お邪魔します」

そのまま、桐ヶ谷くんの家に通された。

「どうぞ、入って」

桐ヶ谷くんの部屋に入ってまず目に入って来たのは、壁一面の本棚だった。

部屋の広さも私の部屋の倍以上ある。

「すごい…」

私は、思わず声に出した。

家も私の家よりかなり大きい。

「桐ヶ谷くんって何人家族なの?」

「俺と両親の三人。二人ともいろんなところに出張に行ってて、ほとんど家に帰って来ないんだ。だから今は俺一人で暮らしてる。それよりあのマンションが気になってるんでしょ?」

「そうだった」

家の広さに驚いて、本来の目的を忘れるところだった。

「ちょっと待ってて」

桐ヶ谷くんは、机の引き出しから、一冊のノートを取り出した。

「このノートにあのマンションのことがまとめてある。はじめに言っておくけど、びっくりしないでね」

そう言ってからのあのマンションのことについて教えてくれた。

「あのマンションは別名、心霊マンションとも呼ばれているんだ」

「心霊マンション?」

不吉な感じがした。

「あまりにも心霊現象が多発するからのそんな名前がついたんだ」

そんな危険なマンションの隣に住んでいるなんてゾッとした。

「今から、マンションで起こったことを話すけど、心の準備はいい?」

私は覚悟を決めて、頷いた。

「一つ目は、ある人形の話…」